ホーム > 通販一直線
2006年09月10日
なんだか久しぶりにゆっくりしているように感じる。最近サイトのOPEN前後で気が張っていたので。短い休日を楽しんでいる。ゆっくりと今日の新聞を読んだ。・・・でもやっぱり仕事のことが頭から離れないけど・・・。
何週間か前の日曜日、本屋で立ち読みをしていてIYグループのCEO鈴木さんの本を読んだ。流通業界で私が尊敬する人の一人だ。本にはこんなことが書いてあった。海水浴場に近いコンビニで売れるおにぎりは梅干だ。その理由がわかるだろうか、と。梅干はもともとおにぎりの定番ではあるが、最近はさまざまな具材に押されぎみで決して売れ筋の印象はない。せいぜい、「好きな人もいるだろうからとりあえず品揃えとしておいておく」程度の認識ではないか。しかし、海水浴場に近いコンビニでは一番の売れ筋になるそうだ。その理由を分析したのもだった。
理由は聞けば納得。海水浴場に来た顧客がコンビニをおとずれて、何か食べものを購入するとき、夕方までの日持ちのことを考える。朝、買ったとしてもすぐに食べないかもしれないので夕方に帰る間際まで腐らずに持つのかどうか?日本人のみなが考えるように「梅干なら大丈夫かな」という心理が働いてのことだ。結果、海水浴場のコンビニでは梅干が一番の売れ筋になるそうだ。もちろん、夏場に限ってのことなのだろうが。
私がこの本を読んで感じたのは、なるほど海水浴場では梅干のおにぎりが売れるのか、という関心もさることながら、売り上げ3兆円を超えるIYグループの会長が、こんな小さな「梅干のおにぎり」のことに真正面から取り組んでいることへの【安心感】だった。
IYのTOPを長く勤められている鈴木会長がこんな一見瑣末な議論を真剣にやる。なぜなのだろうか。
それはこの「梅干のおにぎり」という一時が全体の収益構造の基本だということをはっきりと認識しているからこそ、だと思う。
よく知られるように鈴木会長率いるセブンイレブンは他のコンビニチェーンを凌駕する一店舗あたりの売上高を誇る。つまり最も効率のよいコンビニなのだ。そして、全体ではイトーヨーカドーを加え、3兆円というとてつもない売上高を稼いでいる。
前売り(実際のお店で販売する形態のこと)の収益構造は『ここのお店の売り上げ』+『あそこのお店の売り上げ』+『こっちのお店の売り上げ』+・・・・・・・でしかなく、上記の小さな積み重ねの集大成が全体の売上高でしかない、という当たり前の構造を鈴木会長は完全に理解されているからこそであろう。ポイントがどこかを本質的にわかっているのだ。
最近、企業買収や合併などの金融的な手法がもてはやされ、それをやらなければ経営者ではないかのような雰囲気がある気がする。IT関連企業にその傾向は特に顕著で、ITバブルの際に得た資金をやたらに投資しようとする。しかし、裏を返せば本業に投資する案件がなく、成長のためのビジョンを描けていない、ということなのではないだろうか。もちろん経済活動であるのだから金融的な手法で成長していくのは、ひとつの選択肢ではあるのだろうが、なにか違和感を覚える。
鈴木会長も当然、M&Aなどの手法は知り尽くしておられることだろう(私はお会いしたことがないのでわからないが)。しかし、私ごときがちょっと生意気ではあるが、本業の流通についての議論を一方ではベタなレベルで展開することが可能であるし、それ自体の価値の本質をわかっていらっしゃるように感じる。そういう【安心感】を感じさせてくれる。
流通業は他の産業に比べ、現場がより重要だ。お客様がどんな心理で買い物をされるのか、という顧客視点は、事業の本質を鋭くえぐる発想に昇華する。すべての出発点は、この1個の梅干のおにぎりであり、それ以上でもそれ以下でもない。梅干のおにぎりを、1店舗で3個しか売れなかったものを、10個売れるようにすると、単純に換算すると、100億円の売り上げは300億円になるのだ。ここにしか真理はないのだ。
ECショップもまさに同様なのではないか。ひとつの商品、ひとつの売り場作り、1枚の写真に経営者自らが全力投球をすることは、結果として、P/L、B/Sの改善につながり、資金繰りを楽にし、現金を手元に残すことになる。それが再投資を生み出し、ショップがよい方向に向かうことになるだろう。
ECショップの運営はまさに流通業。IYの鈴木会長のように、ひとつの売り場に執念を燃やし続けてこその商売なのではなかろうか。通販素材.comには、そんな気持ちを持ったショップオーナーさんの参加を期待したい。
いつまでたっても、どこまでいっても、小さな現場の出来事に執念を燃やし続けること。IYの鈴木会長はやっぱりすごい方だな、と改めて思う、今日の休日だった。