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2006年09月17日
太平洋戦争の終わりごろ、当時、世界一の排水量を誇った日本海軍の秘蔵っ子、戦艦大和がアメリカの攻撃に撃沈した。当時の状況を記す、歴史関連の書籍には「機動力を特徴とする空の時代にとっくに世界は移行していたにもかかわらず、当時の軍部の組織的な問題で無駄な死者を多数出すことになった。」というような趣旨の説明がなされているのを読んだことがある。僕は、今のマスを狙った通販(たとえば新聞広告・折込チラシ、地上波のTV通販など)の状況はこれと似ていやしないか、と思っている。
インターネットが進化を続ける今日の状況と、空軍力が支配し始めた太平洋戦争当時の状況は、物理的に小さなものが大きなものを制するという点において酷似している。
マスを狙った通信販売はその裏で、必死に商品の開発を行ってはいるが、通信販売の収益のもう一方の柱である「集客」という面において決定的に戦略が後手に回っているように思える。
インターネットの世界はWEB2.0という言葉に象徴的なように、個人が自由に情報を発信し、また選ぶことが出来る。また、WEBを介して情報は一瞬のうちに全国、全世界に広がるという本質的な性質をもつ。面白いと感じる情報ならその速度は、信じられないほど急激なものとなる。
昨日、9月15日、日本におけるSNSの最大手MIXIがマザーズに上場を果たした。2004年にサービスを開始してからわずか3年あまり、その会員数は実に570万人を数えるまでになったそうだ。これがインターネットの本質、インターネット時代のマーケティング(集客)の本質ではないだろうか。
MIXIの本質は出会い系である。都心に住む友達を欲する若い男女が、希薄になった人間関係を求めてネット上でコミュニティーを作る。その目的はネット以外で顔をあわせる「オフ会」であり、共通の趣味を持った者同士がひと時のコミュニケーションを楽しむ。その顧客視点の本質は「共感」であり、共感を呼ぶ、ネタである。
この、インターネットの状況と通信販売という1次流通の本質を掛け合わせるならば、ECの未来がおぼろげながら見えてくるような気がする。
通信販売の収益構造の基本は「坪効率×リスト数」である。それはインターネットの世界でも永遠に変わらない。ものを手にとって買うことが出来ない‘通信販売’においてこれは、本質的に、また決定的に重要な要件である。
とするならば、インターネット時代における通信販売の基本戦略は、一つには坪効率を安定、向上させるための商品開発、仕入れノウハウであり、その売り場そのものである商品写真と商品説明コピーが相変わらず重要だといえる。そして、もう一方は、バナー広告のようなマス的な手法ではなく(決してなく!)ブログやSNSを活用した、WEBの中における毛細血管を駆け巡るような「共感」を呼び起こす、情報戦略・コミュニケーション戦略といえる。
つまり、こうした時代にこそ、これまで培ってきた商品開発スキルや商品説明コピーなどの「通販ノウハウ」が、コミュニケーションの核になる‘ネタ’になりえるのだ。
ものの安さという価値がその根本を支配するオークションなどのC2Cとは異なり、1次流通のECにおいては、開発背景、生産背景など商品企画者の本音や裏話などの「面白い小話」が決定的に重要になる。
商品という切り口その1点において、いかに具体的な価値を再生産し続けることが出来るか、という社内システムが競争のポイントの最重要課題になる。
広告費を大量投入するようなマス的な手法ではなく、WEB上に張り巡らされたネットワークを使って、遠くて近くの消費者に対し、どれくらい親近感を持って受け入れてもらうことが出来るか。毛細血管の中をスムーズに情報が駆け巡るように、ひとつのワードをいかに執念を持って開発することが出来るか。それが最大のポイントになる。
もともと通信販売とは「ワードの意味の格闘技」、と僕は思っている。
コマースという次のネットビジネスの収益ポイントは、こうした「現実のベタなノウハウ」と「WEBという目には見えない集客コンセプト」の掛け算で進行していくのではないだろうか。その両方をいかに自社の戦略にスピーディーに取り入れることが出来るか。通販素材.comは、その1点に事業戦略のポイントを絞り込んで、先を急ぎたいと考えている。
もう、マス的な広告手法は終わりを告げようとしているのではないだろうか。マス広告を活用した集客は戦艦大和と同じ道をたどるような気がしてならない。